恋色流星群
こんな浮ついた身体じゃ、仕事なんて手につかないと思ってたのに。
七瀬くんが帰って、本格的にやり始めるとその量にも内容にも没頭してしまって。
気づけば、あっという間に約束の18:00前になった。
理沙さんに、やってもらった。
ごくゆるの巻き髪に跡が付かないように、柔らかいシュシュで纏めていた髪。
そっと解いたら、理沙さんと同じ匂いが舞い上がった。
一人っきりの、見慣れた休日のオフィスで。
誰にも遠慮することなく、思いっきり伸びをする。
日が落ちるのが早くなったな。
これから、年末に向けて。
今までなんて、比にならないくらいの忙しさに身を投げていくメンバー。
チョコさんは、ドラマも始まったし。
七瀬くんは、単独の雑誌の仕事が増えた。
要くんは、ラジオ番組を3つも持った。
他のメンバーだって、去年の露出に比べたら。
直生さんは・・・
直生さんが、今年も最後まで。
体を壊さずにNAOKIさんでいられますように。
机に頬をつけて、ぼうっとした頭で何気なく突いていたら。
いきなり震え始めた携帯に、慌てて跳ね起きる。
表示される、その名に。
思考回路は、一瞬にしてショートする。
私、やっぱり今日。
生きて帰れる、気がしない。
“もしもし?”
「もっ、もしもし!お疲れさまです!」
“お疲れさま~。終わった?”
「はい、もう終わるので出れます。」
慌てて立ち上がったら、机の端に寄せていた書類の山が崩れて。
バラバラと音を立てて、床に散らばった。