恋色流星群
私と目が合うと、不思議そうに足を止める。
『そっか、航大に遊んで欲しかったんだね。
今日はね、帰っちゃったの。
まだ仕事があるんだって。』
少し汚れた、蜂のぬいぐるみ。
手洗いをして干したけど、染み付いた黒っぽさは取れなかった。
だけど、それがレオンの成長の記録なんだと思ったら。
流れてきた時間を、無性に愛しく感じた。
『私が遊んであげるよ。
先にシャワー浴びてきていい?』
膝にぬいぐるみを落として、黙って私を見上げる。
『大丈夫。
あのローズは、しばらく使わない。』
そっと、頭の上を撫でたら。
小さく尻尾を、揺らした。
一人の足で、立ってみる。
誰にも、引っ張られずに流されずに。
全てだった、翔さんを失っても私は大丈夫だった。
怖くない。
私はきっと、大丈夫。
もう、逃げないで。
確信の蓋を、一人で開ける。