恋色流星群
どうやら、いつまで経ってもたどり着けなかった理由は。
私がそもそも入ってきたドアが、一つ隣にズレて間違っていたようで。
チ「分かる?だから、ここを真っ直ぐもう一度戻って、二個目に出てくる角を左に曲がれば。
黄色いカートの通りに、着くんだよ。
あとは__________________ね?」
『おっけー、わかった!
ありがとうね~、チョコ♡』
ほんの少しだけ見上げる、いつもと同じ目線で。
いつものように、クシャクシャと頭を撫でようとすれば。
触れた瞬間、ガチガチにセットされた固さに気づいて、慌てて手を引っ込める。
『ごめん!崩れた?!』
チ「平気、どうせ今から踊って崩れるから。」
『あれ?今からまだ出るの?もう終わりじゃないの?』
チ「俺はね、まだ出番があるの。
理沙はもう行きな?planetは終わりだから、皆んなそれぞれ捌けちゃうよ。」
『・・・ありがと。私、行くね。』
チョコに聞いて欲しい思いは、たくさんあったけど。
チ「うん。もう、道に迷わないで。」
言わなくても、その殆どが。
正しく、伝わってる気がした。
手を振って、もう一度駆け出す。
今、この瞬間。
世界中のどこよりも、向かうべき場所。
あの笑顔が待つ、その部屋まで。
直「あれ?今日って、二人同じ楽屋にいたっけ?航だけ、異動あったよね?」
チ「そうっす。」
直「・・・今、どっち教えたの?」
チ「親友としての、確認テストってことで。」
直「悪いヤツだなぁ♡落第、しないでよ。」
チ「大丈夫です。
決めどころのテストは、落としたことないんで。」
向こうに見えた、黄色のカートに走りを止めて。
ゆっくりと歩きながら、一つ一つに掲げられた数字を確認して。
その部屋を探す。
上がる息を、整えて。
だけどもう、目の前まで来てる、辿り着いたドアを。
今すぐ開けたくて、指先が震える。
溢れそうになる心を必死で抑えつけて、二回。
ノックした。
返ってきた、澄んだ声に。
堪らずに、冷えた銀色のノブに手をかけた。
蕩けるような、至極の微笑み。
いつ何時も違わず。
私を溶かしていく、オレンジ色の温度。
『陽斗くん・・・!』