恋色流星群
仕事が休みだからといって、急に早くは眠れなくて。
サングリアを片手に、だらだらと古い洋画を見ていた。
明日の今ごろは、真っ暗な機内の中。こんなに心踊らないハワイは初めて。
シュークローゼットの前でスタンバイしてるリモワが別人の顔をする。
全然、輝いて見えない。
旅行の前ってこんな憂鬱な気持ちだったっけ?
そもそも、旅行ではないけど。
まずい、どんどんどんどん行きたくなくなってきた。
今にも、逃げそう。
とりあえずもう一杯飲もうと、クッションとグラスを片手ずつにヨロヨロ立ち上がると。
携帯が、《剛田大》からのメッセージ到着を知らせる。
『っとに、おめーはこっちの気も知らねーで・・・』
八つ当たりどころを見つけて、早速文句を言いながら画面を開く私の目に飛び込んで来たのは_______
この地球上で一番、
完璧なサンセット。
「すげーきれい」
写真に添えられた、たった一言が。
時差も距離も飛び越えて。今、同じ景色を見ていることをリアルに感じさせた。
こういうの、ほんとやめてよ。
真夜中のメールも。
たった4文字の「おやすみ」で、簡単に私の1日を支配するのも。
寝る前に思い出したり、きれいな景色や感動を伝えたくなったり。
そんな相手だと勘違いさせるのも。