恋色流星群

6♯瀬名side


すぐに分かるよ、と直生さんは楽しそうに林理沙子さんの特徴を教えてくれなかった。


羽田発のJAL便。
分かるかいな、どれだけたくさんの日本人が降りてくると思ってるの?

疲れてるだろうし、彼女がアウェイ感を感じてしまう前に。こちらから声をかけて、安心させてあげたかった。


私は焦る。





直生さんがやっと見つけてきたという女優が、“素人”で。
“夜のお店の方”だと聞いたとき、みんな嫌な顔をした。

スタッフ全員、今回の楽曲に賭けてたから、こんな大事なポイントでなんでまた、と。
直生さんの企画参加を悔やむ声も聞こえた。
普通は、同じ事務所内で適当なモデルさんとかを出すから。双方のプロモーションにもなるし。

「倫さんのツテらしい」という噂で、みんなやっと口をつぐんだけど。
直生さんのアウェイ感は、なかなかだったと思う。









ハワイに来るまで、相当、イライラした。


“素人”だとか、“夜のお店の方”だとか。

ほんとに、くだらない。








正直、誰でもよくない?

planetを頂上決戦に連れて行ってくれる人なら。

賭けてるんでしょう?この追い風に。
この大事な時期だからこそ。人を選んでる場合じゃないでしょう?


だいたい、偏見で人を区別するの嫌いなんだよね。
だから、スタッフ内で“女優さん”の現地サポートを募られたとき、真っ先に手を挙げた。








渡すもんか、直生さんが企画参加デビュー戦を賭けて選んだ宝石を。

落とすもんか、直生さんの威厳。




上げてやる、直生さんの見る目も。




planetが次に立つ、ステージも。
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