恋色流星群
7
「林さん、ですね?」
ふいに呼ばれて振り返ると、ラベンダー色のマキシワンピの若い女の子が立っていた。
『あ、はい・・・瀬名、さん?』
「そうです、初めまして!よかったです、無事に到着されて。
長旅お疲れさまでした、これから5日間よろしくお願いします。」
この人か~、対応や言葉使いが大人すぎて。
もっと年配の人かと思ってた。
イメージとは違うけど。可愛い子だな。
荷物お持ちしますね、と私のリモワを受け取るとスタスタと慣れた感じで歩き出した。
慌てて、背中を追う。
直感で感じる。
この子の感じ、好きだな。
「今日はこのまま、ホテルにお連れします。
お疲れのところ申し訳ないんですが、そのまま打ち合わせに参加していただいて。状況によっては、ヘアやネイルの仕込みに入らせていただくので。
早くても、終了は20:00頃の予定です」
『やった、思ってたより早い。』
思わず、口に出る。
瀬名さんは、一瞬目を丸くしたけど。
「そう思っていただけるなら、よかった」とにっこりした。
ホテルに向かう車の中。
開いた窓から流れてくる、懐かしい暖かい香りと、真っさらな海のブルー。
気持ちいいな・・・
ちょっと、来てよかったかも。
窓から少し顔を出す。
髪が風に泳ぐたび、昨日までのストレスが拭い去られていくような気がした。
『瀬名ちゃん。』
「え?」
『こちらこそ、5日間よろしくお願いします。
ちょっと遅くなっちゃったけど。笑』
瀬名ちゃんは。
くすぐったそうに笑って、頷いてくれた。