恋色流星群
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昨日の打ち合わせで、説明を聞いて知ったこと。
私は、本日2日目の殆どを、水の中で過ごす。
シチュエーションは、簡単に言うと。私は要さんを水遊びに誘う女。
私に誘われた要さんは、プールに入水し、水の中で私と戯れながら歌を歌う。
この映像の中から何カットかが、要さんのパート部分で断片的に使われるらしい。
リハ含め、水中に浸かる時間は暫定10時間。
体力と体温を、どこまでもたせられるかが私の勝負。
ヘアメイクしてもらう部屋で流れる、今回の楽曲。
何度も何度も機内で聞いたのに。目をつぶればまた、意識は遠く連れて行かれそう。
今は航大はいいやと、要さんの声に集中する。
実際に声を出すかは知らないけれど。今日はこの声が、私の前で歌うんだ。
それは絶世の光景か。
触れられない、この世の悪夢か。
「めちゃくちゃ綺麗。」
目を開けると、鏡越しに直生さん。
『おはようございます。』
直生さんの様子から、直生さん自身もこれから撮影なんだな、と知る。
「また、夜の打ち上げのときに会おうね。」
『はい。』
優しい三日月の目は、「来てくれて、ほんとにありがとう。」と微笑んだ。
つま先が水面についた瞬間、息を飲んだ。
________水、めちゃくちゃ冷たい。
「ごめんなさい、冷たいですよね?!
交渉はしたんですけど、プールなのでなかなか温度調整が上手くいかなくて。我慢、できなそうですか?」
背中から、心配そうな瀬名ちゃんの声がする。
ちゃぷん
思いきって腰までの水に飛び込んで、笑顔で振り向いた。
『大丈夫です。』
スタッフさんたちの安堵の表情と、同時に流れる、これから始まる試合への緊張感。
林さん、リハ入りまーすと遠くから聞こえるかけ声。
目を閉じて、深呼吸する。
ここまで来たんだもん。
私は絶対。
来世分までの貸しを、倫くんに作る。