恋色流星群
15♯陽斗side
「演技教えてよ」と航に冗談を飛ばしながらヘアメイクしてもらっていると。
チョコの視線に気づいた。
「どした?」
チ「あ、いや。陽斗さん、明日のジェットスキー来る?」
「うん、行くよって言ったじゃん。」
チ「そっか。」
自分で聞いておきながら、何となく、上の空な返事に。
チョコも疲れてんだな、と思った。
航「ここのジム、どうだった?昨日走ったんでしょ?」
航の問いかけにも
チ「うん。あー、でもまぁまぁだったよ。きれいだったし。」
と、またしても歯切れの悪い返し。
俺は航と一瞬目を合わせて、「今日終われば、あとは1日オフだから。がんばろうな。」と、チョコの肩を叩いた。
チ「陽斗さん、今日の上がり何時の予定?」
「22:00。あくまで予定はね。笑」
チ「そっか、じゃあ打ち上げも二次会から参加だ。」
何かを考えるような、チョコの様子が気になりながらも。
「要さん、お願いします」とスタッフに呼ばれ、部屋を後にした。
久しぶりに、演技をするPV撮影。
歌うシーンを上手いこと撮られるのには慣れたけど。
台本的なものに合わせて動くのには、まだまだ慣れない。
まして、それに合わせて歌う演技も。
下手して、打ち上げ三次会から参加なんてならないように。
特に今回は、外部からの女優さんらしいから。
ハワイと言えど、夜の風はまだまだ冷たい。俺のせいで長引かせるわけにはいかない。
大きく息を吐いて、気合いを入れた。