恋色流星群

16



数度のリハーサルを終えて、一旦プール際に上がる。


さ、さむい。。

瀬名ちゃんが後ろからバスタオルで抱きしめてくれるけど。水からあがってしまったことで肌が風に触れ、体温が更に奪われるようだった。





目を閉じて、メイクを直してもらう。
いよいよ日が落ち、風が冷たくなってきた。

ここからが、本番。じきに要さんがやって来て、撮影が始まる。





「理沙子さん。これ、飲んで。」

瀬名ちゃんが渡してくれたのは、ジンジャーの香りの紅茶。


「がんばってくださいね」

空いた両手で、また私をギュッと後ろから抱きしめた。





大丈夫、がんばる。


瀬名ちゃんにも直生さんにも。

私を選んでくれた恩を、返すからね。









紅茶を飲み切って、またプールの水の中へ戻る。
ヘアメイクさんが、一緒に腰まで水に入り、髪を整えてくれる。



すごいな、この人も冷たいだろうに。
こうやって、全員で一つの作品を作ってるんだな。









「要さん、入りまーす!」

スタッフさんの声で目を開け、拍手のする方を振り返った。

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