恋色流星群
21
確認入ります、という声と、静まる緊張感。
次の「OKです、お疲れさまでしたー!」という声とともに、遠くで歓声が聞こえた。
終わった・・・OK出たんだ。
一気に、体の力が抜ける。やばい、体、重い・・・
瞬間、感じたのは。
頬に当たる固さと。トン、トン、と響く鼓動。
視界を覆う“赤”で、ああ要さんに抱きしめられたんだと気づく。
抱き寄せた一瞬は強かったのに。
今は緩んだ両腕が、壊れものを扱うように柔らかく。
首に回される左腕と。優しく後頭部を支えてくれる右手。
耳に届いた、掠れた声は。
「ありがとう」
と囁いた。
こんなときに
こんな声で
こんなこと言わないで。
視界が滲む。
同じように背中に手を回したいのに、もう力が入らない。
そして私は、遠く意識を失った。
最後に聞こえたのは、多分瀬名ちゃんの叫び声。
最後に感じたのは
私を抱き止める、腕の強さ。