恋色流星群
まだ少し心残りそうな顔の瀬名ちゃんを無理やり追い出して。
ソファの下で発見された携帯をスクロールすると。
『うわ・・・。汗』
剛田大からの、おびただしい量の着信。
す、ストーカーか・・・
届いていたメールは一通。
「連絡して。頼むから。」
たった二行から伝わる思いに、小さな声で胸が鳴いた。
聞いてたんだ、私のこと。
心配、させてたみたい。航大にも、すごく。
それにしても、頼むからって言われてもさ。私、寝てたし。
無視してたわけじゃなく、気づかなかったんだし。
今連絡しても、おせーよとか怒んないかな・・・
思わず、普通にリダイヤルを押そうとした指先を止めた。
だめだ、ここで連絡しちゃったら、航大もビーチ行くのやめるとか言い出しそう。
きっと楽しみにしてる。最近は特に、オフなんてそうそうないはずだから。
よし、昼に起きたことにしてしばらく後で連絡しよう。
そうすれば、既にビーチに行ってるはずだし余計なことにもならないよね。
航大の顔を思うと、胸が痛んだ自分に気づく。
悪いことは何もしてないのに。
何も言わずにハワイに来て、こんなことになってしまったのは。
もちろん、ちょっと申し訳ないんだけど。
何かを、聞かれそうで。
何かを、見透かされそうで。
“私たちは、本当に何もないのに”
思い切って電源を切り、私はベッドに潜り込んだ。
朝方まで、あの人が腰かけていた
ベッドに。