恋色流星群
「うーん・・・。」
歯切れの悪い直生さんに。
千代さんは、さらっと。
チ「だって、直生さんも行かないなら俺も行きにくいですもん。他のスタッフもそうだと思いますよ。
俺が理沙子だったら、自分のせいでそうしてしまったと思って、最悪な気分になると思う。」
たしかに。
私でもそう思うだろうな。
千代さん、やっぱり頭いいな。
いつも人が納得できる、優しい論理的なヒントをくれる。
私が一人、目からウロコをポロポロこぼしていると。
直「そう、だな・・・ありがと。笑
じゃあチョコ、終わりの時間変更頼む。それか、俺だけ先に戻ってくるってのでもいいけど。」
やっと、直生さんが笑顔を見せた。
直「瀬名さんも、行くよね?」
瀬「あ、や、へ、へいっ!」
急に振り返った笑顔に。
心臓が跳ね上がって、とんでもなくまなけな返事をしてしまった。
チ「なに、“へい”って!笑」
千代さんが、空気を読んだ爆笑でフォローしてくれる。
やばい。恥
神様、どうか直生さんには聞こえていませんように。
チーンと、音を立てて開くエレベーターのドアを。
右手で押さえながら、直生さんが私を覗き込む。
「どうぞ、お嬢さん。笑」
笑顔が私だけに向くこの一瞬。
この一瞬で、日々の葛藤は報われる。