恋色流星群

4#陽斗side



そろそろ来る頃だと思っていたから。

部屋の呼び鈴が鳴ったとき、わりとすぐ起き上がれた。



相手を確認せず、扉を開ければ。


「・・・あぶな、俺じゃなかったらどーすんの。」


トムブラウンのサングラスから覗く目は、愛すべき相方。


「航だと思ったんだよ。笑」







差し出されたビニール袋を受け取ると、航は何も言わずソファに座った。


陽「これ、自分で買いに行ったの?一人で?」


袋には、ペットボトルの水やクラッカー。フルーツに、サラダ。


航「うん」

陽「そっちのほうこそ、危なくない?笑」

航「いや、意外に平気。」

陽「だって、超“七瀬航大”感出てるぞ。」

航「・・・ばかにしてんの?笑」




航の連れてきた空気は、いつもと変わらず。

だけど、俺に向き合う思いは。
きっと、いつもと違う。





陽「なんか飲む?って言っても、コーヒーくらいしかない。」

航「いらない。陽斗、体は?」


陽「ああ、俺はそんなひどくないから。」



敢えて、“俺は”と口にした。

責められるなら、謝る。
彼女を酷使した。彼女を独占した。

目覚めたとき、一番に謝りたかったのは真実だったけど。


一連の行動に、全くの独占欲がなかったと言えば。

それは綺麗事だ。









航「ありがとな。」






小さく、だけどはっきり聞こえた声に驚いて振り返ると。


手首のクロムハーツをいじりながら、目を上げない航が。



航「理沙子のこと。連絡くれて、ありがとう。」

と、もう一度繰り返した。

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