恋色流星群
7#航大side
わざわざドアまで見送りに来た陽斗は。
「ずるいことも遠慮も、したくない。フェアにいこう。」
熱に浮かされた顔で、持ち前の熱さを見せた。
「うん。笑」
もしかしたら、恋をする陽斗を見るのは初めてかもしれない。
可愛い、と思ってしまう。
今にも、足元すくわれそうなんだけど。
「あとさ、俺が言うのもなんなんだけど。」
伏せた目は、優しさと穏やかさを発しながら。
「全員を傷つけないのは、無理だよ。航は優しいから全部をうまくいかそうとするけど。
誰を一番、傷つけたくないのかだと俺は思う。」
はっとする。
この男の深さに
改めて気づかされる。
何も話してなかったのに。
何もかも、知っていたのか。
航が決めることだけど、と細くなった目は。限りなく優しく。
同じ人を想う仇には、到底思えない。
どんな時にも、俺たちはこうなんだろうな。
仇には到底なれない運命だ。
「うん。ありがとう。」
感じた全ての感情を込めて告げ、ドアを閉めた。
気持ちがなくなったからといって、愛した記憶はなくならない。
初めて、愛した人だったから。
どんなに時間がかかっても、訪れた別れを理解してもらうのが俺の責任だと思っていた。
そのことで、もし理沙子が、
傷つく瞬間があるのなら。
それは、責任なんかじゃない。
俺の、エゴだ。