恋色流星群
一瞬止まった後、始まった深いキスに
ぐらんぐらんと、目が回った。
航大の口内が、
こんなに熱いなんて知らなかった。
相変わらずはりつけられた右手首の感覚に、思考回路を奪われる。
「理沙子。」
はっきりと名前を呼ばれて、薄く目を開けると。
この世で一番、美しい男の顔。
濡れた口元に。思わず目を背けてしまう。
『・・・手出したじゃん。私のこと、好きなの?』
わざと、無愛想に冷たく言い放ったのに。
「うん。好きだよ。」
愛しそうに
一瞬の迷いも無く、そう答えるから。
きゅうっと、私の心臓は甘く掴まれた。
「だから観念して、俺のものになれ。」
思わず、“はい分かりました♡”と。
頷いてしまいそうになる、圧倒的な色気。
負けるもんか。
六本木の意地、見せてやる。
「何て顔してんの。笑
怒ってんの?」
そんな優しい瞳で
私を見下ろさないでよ。
『急に好きとか言われても困る。』
「急にじゃねぇよ。言わなかっただけ。」
『とりあえず、そこどいてよ。』
「だって逃げるじゃん。」
『簡単に好きとか言う男は信じられないんだよ。』
「だから、簡単じゃないって。お前しつこいな。笑」
『じゃあ、私のことどれくらい好きなの?』
笑みが消えた表情に
しまった、と気づく。
とてつもなく、間違ったボタンを
両手で思いっきり
押してしまった感覚。
片側だけ上がる口元。
纏っているのは
殺気だった、色気。
「教えてやろうか。」
呟くような言い方に
回答は求められていないことを知る。
艶やかに追いつめる手口はまさに
色恋沙汰の手練れ。
どうしよう。
知りたいのに、知りたくない。
知りたくないのに、知ってみたい。
ローズの香りは
この男ばかり、思い出させる。
身に纏えば
甘い、束縛。