恋色流星群
13#直生side
生まれて初めて見る、真上で打ち上がる花火の大迫力に。
俺だって、もれなく興奮したわけだけれども。
「きれーれしたね~!」
隣の酔っぱらいが可愛いすぎて
途中から気が気じゃない。
「直生さん、飲んれますか?」
「飲んでる飲んでる、ありがと。笑」
最初っからペースが早いから、大丈夫かなとは思ったんだけど。
飲み会でも、わりと最後までちゃんとしてるイメージがあったから。つい、目を離してしまった。
「ふい~。今日は最高らったな・・・。」
ハワイの風は夜になると少し冷たくて。
肩の出たワンピースの彼女が気になった。
「瀬名さん、もう戻る?寒いし、眠いでしょ?」
「直生さんは、もう帰りたいんれすか?」
はっとした顔で、眉毛を八の字に下げる彼女に。
「いや、帰りたくはないけど。」
思わず、彼女が子犬のように見えて手を伸ばそうとした自分に気づき。
左手で赤面した顔を隠した。
何やってんだ、俺。
「たくさん、売れますように~!」
いきなり空に叫んだ声に。
たぶん、今回の楽曲のことを言ってるんだろうと胸が温かくなった。
「瀬名さんは、うちの会社で次は何やってみたい、とかないの?」
「あたしれすか?あたしは・・・。」
酔ってるときに余計なこと聞いたかな。
「あたしは、できるだけ長くうちのチームにいたいれす。みんな、むちゃくちゃかっこいいですもん。
今の場所は、あたしの誇りなんれすよ。」
「・・・ありがとう。」
どちらかというと、いつも目立たない場所で。
男性スタッフに混じって裏方の仕事をコツコツしている彼女。
仕事に熱いんだろうな、とは思ってきたけど。
こんなにうちのチームに思いを持ってくれていたとは、知らなかった。