(仮)センセイに恋の法律相談
にも関わらず、この親族会議はひどく難航した。

その理由は……

父母の失踪の理由そのものだった。

(これは後になって哲さんに教えてもらったことだが)
父は、相当厄介な仕事を引き受けてしまったそうだ。


当時、私へ情報は優しい大人たちによって遮断されていたが、

『白昼に消えた弁護士夫婦』

などとワイドショーやニュースなどでも相当取り扱われたその事件は、オカルト教団のきなくさい取引との関与が騒がれたのだという。


親戚達には皆、守る家族があった。

だから、そんな危険に巻き込まれるコトを恐れたのはやむをえないと思う。
(皆さん、普段はイイ人達なんだよ)

けれど、父母に会えない不安のなか、押し付け合われる張本人の私には、とても耐えられない空気。

とうとう居たたまれなくなった私は、そっと縁側から出、庭の隅に隠れて泣いた。


庭の隅にはお母さんと昔植えた昼顔の花が咲いている。
その薄桃色だけが唯一、心を落ち着かせてくれる気がした。
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