私って、男運がないと思うんです
「いったいな、やめろよ」
私の腕を押さえ
「ちょっと落ち着け」
と言いながら、ふわりと抱きしめてきた。
その思いがけない陽さんの行動に
悔しいものの、胸がキューと締め付けられた。
キスも、それ以上のこっぱずかしいこともした関係だけど、こうやって抱きしめられたことなかったな、ふと気付いた。
気付いたら、さっきとは違った意味で胸が締め付けられた。
そんな私の様子になんて気に留めずに
「落ち着いたか。人多いし、移動するぞ」
ついてこい、という風にアゴをしゃくってロビー前に停車しているタクシーに促した。
またキスでもされるかと構えていたものの
先に乗せた私から距離をとって座り
じっと窓の外を眺めていた。