私って、男運がないと思うんです

きちんと全部話そう、そう決めてイスを岡田さんの方に向けて座り直した。


「結婚はしません」


「実は確かにプロポーズされたんですけど、断りました」



大晦日に実家に帰るという真弘と、東京駅で会った。

そして、あの指輪を返した。

「一回手放しちゃった俺がバカだったんだよな。咲季がいつか戻ってきたくなるの、今度は俺が待ってるよ」

そう優しい言葉を残して、一度だけふわっと私を抱きしめた。

これまでの真弘の隣で過ごした4年間を思い出し、真弘の乗った新幹線を見送りながら泣いた。


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