私って、男運がないと思うんです
昨日からのことを思い出すと、夢なんじゃないかと思うことばかり。
写真のこと以外あんまり語りたがらない陽さんが、ちゃんと言葉にしてくれた。
そして朝、いつかも手にしたことがある鍵を渡して言った。
「もう返さなくていいから。どこ住んでんのか知らないけど、ここ越してきたら?会社も近いでしょ」
起き抜けの働かない頭では何を言われたのか処理できなくて
ぽかーん、としてしまった。
「え?」
「え?もっと会社近いとこ住んでんの?」
「いえ、中野なんで」
「じゃあ、いいじゃん。ここの方が便利だろ。帰ってきたらさ、ここに居てよ」
ちょっとはにかみながら言う陽さんがかわいくて、思わず起き上がって抱き着いた。
「いいんですか!?簡単に出てけって言わないでくださいね」
「あぁ」
見上げると見たこともないような優しい笑みを浮かべる陽さんの顔があった。