私って、男運がないと思うんです

「陽、そろそろいい感じじゃない」

森にそう声をかけられ、ファインダーに集中。

いい感じだな、と当初予定していたカットを撮っていると

「バックだけじゃなく、横からのアングルもいけそうじゃない」

森が言い出した。

現場で動きを見ながらカットを追加するのは、森と仕事をしているとよくあること。

確かにその画いけるかも、と思い
森と話しながら、追加で3つほどカットを押さえた。

予定より少し時間が押したものの
想定以上の出来にテンションがあがっているスタッフを横目に機材の撤収を進めていると、メモ片手に岡田に向き合っている彼女の姿が目に留まった。

その眼差しが真剣で、最初にあった時の凛とした姿を思い出し、ふと口元が緩んだ。


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