私って、男運がないと思うんです

「あ、帰ってきた」

そこには、ほっとした表情を見せる真弘がいた。

びっくりして立ち尽くしていると

「とにかく寒いから部屋いれてよ」

私の手から鍵を取り上げ、オートロックを解除し部屋までズンズン進んでいく。

「え、ちょっと何。いきなり」

部屋に入ると、自分の家かというように自然にエアコンをつけ、コートを脱いでソファーに腰かける真弘。

一連の流れを呆然と見ていると

「咲季も座れよ」

と腕をひかれた。

「え、だから何。なんで普通にくつろいでんの」

憮然とする私に

「いいから、座れって」

と再び腕をひかれた。

そこで、真弘の手がすごい冷たいことに気付いた。


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