待ち合わせはあのカフェで



「五年前とは大違いだな」



陸人の言葉に、体がぴたりと止まった。
五年前か…神谷さんはきっと覚えてないだろうな
あの時の事。



「あれから五年も経つんだ」



長かったような短かったような。



「五年前に一目惚れから始まった片思いがまだ続いてんだろ?」

「まぁ」

「涼太は本当に一途だな」

「うーん…それって一途って言うのか?」



話をした事は、ほんの些細な事だった。
たったそれだけで、少し気になる存在になった。



「言うだろ」



陸人は、笑いながら言った。
俺は、言われた事に対して考えながら話している。



「五年も片思いする奴、涼太だけだと思う」

「うーん…」



…分かんない。

確かに、神谷さんの事ずっと好きだった。
その気持ちは今も変わる事なくて

けど、好きになってすぐ神谷さんを見かける事はなくなった。
何があったかなんて分かんないけど
俺はただただ気持ちを胸の奥底に閉まっておく事しかできなくて
気持ちを伝えるなんてあの時は、考える事すらなかった。


一人で考えていれば、ケーキが運ばれてきた。
今日は、いちごのタルト。こないだ神谷さんと半分したケーキだ。
紅茶のシフォンケーキもいちごのタルトも
こないだ初めて食べたけど、とても美味しかった。
とても気に入った。



「いただきます」



ケーキだけを買いに行ってた時、ショートケーキを買わない俺に
陸人は、「どうした?!」と聞いてきた。

ケーキを貰った話をすれば、納得したような顔をしてたけど
「単純だな」とも言われた。
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