待ち合わせはあのカフェで
「うるせぇ」
ぼそっと呟いた。
きっと、本人には聞こえてない。
「涼太、もしかして今日自主練しなかった理由って…」
「違う」
陸人の顔を見ずに即答した。
「本当に何もないし。おいてくぞ」
「ちょ、涼太待てよ!」
着替え途中の陸人を置いて先に更衣室を出た。
焦ってたし。焦るなら、早く着替えろって言いたい所だけどまぁ、いいや。
陸人の着替えが遅いのはいつもだし。
スクールの一階、受付前にある椅子に座って陸人を待つ。
特に決まり事にしているわけじゃないのにレッスン終わった後
いつも一緒に帰るのが仲良くなった時からの決まり事みたいなものになっている。
お互い自主練したり、片方自主練している時は練習が終わるまでスタジオの外で
練習している姿を見て待っている。
用事がある日は、もちろん別々で帰るけど。
「ごめん」
小走りで来た陸人。
「行くか」
俺は、すくっと立ち上がって陸人と一緒にスクールを出た。
「あっつ」
外はもう、夏を知らせるようにジリジリと暑い。
いつ雨降ったっけ?って思うぐらい雨降ってた日が少ない気がする。
なのに、まだ梅雨開けてないってお天気キャスターさんが言うんだから信じられない。
「今日も行くんだろ?」
「うん、糖分補給」
「今日もいるかな、あの子」
「さぁ…いつも居るから居ればいいけど」
スクールの帰り決まって寄り道するのが糖分補給に使っているカフェ。
お店の雰囲気よし、ご飯もデザートも美味しい。
スクールがない日も時々行ってしまうぐらい気に入ってる。