待ち合わせはあのカフェで
「失礼しました」
簡単なドリンク・デザートから少し凝ったドリンク・デザートを
俺達の前の注文から手際よく作っていた。
どうやらケーキは、キッチンから出てくるらしい。
冷静で真剣な表情。
初めて見た。
「失礼します。お先に、いちごミルクのお客様」
「はい」
返事をしながら軽く手をあげる。
陸人の目の前にコーラを置いた瞬間声をかけた。
「よくカウンターやるんですか?」
「昼間はあんまり…何で、ですか?」
「いや、手際がいいなって思って」
褒めるのは苦手だ。
でも、思った事を神谷さんに言ってみた。
すると、今日一番の笑顔。
「ありがとうございます。デザートただいまお作りしておりますので少々お待ちください」
「はい」
なんか、今日はだいぶ神谷さんと話してる。
大袈裟だろうけど、一か月分ぐらい話した気が…
「陸人」
「ん?」
「たまにはカウンターの席もいいな」
いちごミルクの中に入っている氷をストローでクルクルとかき回す。
隣の陸人がクスっと笑った。
「なんだよ」
「いや、楽しそうだなって思って」
楽しそうって、実際楽しいよ。
神谷さんが作っていくれたいちごミルクを一口飲む。
仕事だって分かってるけど、作ってくれたのが神谷さんってだけで嬉しい。
あー…、俺っていつからこんなに単純なやつになったんだろう…
「うるせぇ」
「失礼します。いちごのショートケーキのお客様」
「はい」
シンプルなお皿に、綺麗ないちごのショートケーキ。
ケーキのすぐ近くに、チョコレートソースでにっこりマークが書いてあった。