待ち合わせはあのカフェで



「俺さ、」

「うん」

「今回、夜練習行けない気がする」




テストがあったり
アーティストのバックダンサーのオーディションだったり
スクール発表が近くなると、夜のビルのガラス張りの前でいつも練習をしている。
スクールでの自主練ももちろんするけど。

いつから始めたのか覚えてないけど、仲いい先輩に誘われて一緒にやったのがきっかけ。




「忙しいんだ」

「ちょっとね」



バイトかな?
人足りないって言ってたし。


「まぁ、来れそうな時来ればいいんじゃない?」

「そうだな」

「そろそろ行く?」

「そうだな」




イスから立ちあがる。伝票をもらってない事に気づいた。
神谷さんに声をかけようと姿を探す。
話しかけようと思ったけど、神谷さんが伝票を持っていた事に気づいた。




「ありがとうございます。伝票です」



手渡しで、伝票を渡される。



「ありがとうございます。あの、」

「ん?」

「ケーキのお皿に書いてあったにっこりマーク」

「私が勝手にやってるサービスです」

「次来た時もやってくれますか?」

「え、あ、はい」



少し困ったような驚いたような顔をする神谷さん。
言わない方がよかったかな…



「また来ます。ごちそうさまでした」

「またお待ちしてます。ありがとうございました」



軽くお辞儀をしてから、会計のレジへ行く。
先に会計を済ませて、陸人の会計が終わるのを待っている間
神谷さんをちらっと見ると目が合った。



「涼太、行くぞ」


会計終わるのはや。


「うん」



陸人に返事をしてすぐ神谷さんに手を振られた。
え、これって、バイバイって事だよね…?
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