恋愛じかけの業務外取引
驚いて、かわいくない悲鳴みたいな変な声を出してしまったと思う。
体のバランスを崩した私は筋肉質な腕に抱き留められ、くるりと視界が回ったと思ったらベッドに横たわっていた。
部屋の照明の逆光で、彼のかわいい顔がとんでもなく色っぽく見える。
なにこれ。こんな顔初めて見た。
ドキドキが止まらない。
私の心臓、こんなに動けるんだ。
このまま壊れてしまいそう。
「遊びみたいなのは嫌だ。私、ちゃんと恋愛したいから」
堤さんが好きだ。
彼にだったら、私は喜んでこの身を差し出せる。
でも、私もいい年なのだ。
いい年してるくせにバカみたいって思われるかもしれないけど、いい年だからこそ、ちゃんとしなきゃいけない部分だと思う。
だって、するんだったら私を好いてくれる人と幸せな気持ちでしたい。
「悪いようにはしないのに」
クス、と柔らかく笑った堤さん。
自分の気持ちが強すぎて、彼がなにを考えているか全然読み取れない。
「このエロオヤジが」
なんて悪態づいてみたが、自分でわかるくらい顔が熱を持っているから、格好つかない。
「じゃあ、キスだけしていい?」
ぐ、と彼が手を着いた部分に負荷がかかったのを感じた。
彼の体重が、どんどんこちらに向かってくる。
「騙されないもん。キスで済むわけないじゃん」
「済むよ。俺の意思の強さを証明してやる。俺はこう見えて誠実な男なんだ」