恋愛じかけの業務外取引
我ながら大胆なことを言った自覚はある。
恥ずかしさに耐えつつ彼の腰に腕を回し、気持ちを押し付けるようにギュッと抱きしめる。
ふふと彼が笑った息が私の首を掠め、またゾクリと私の全身が甘く刺激された。
「じゃあ、遠慮なく」
耳元に感じた吐息が離れたと思ったら、にっこり笑った彼の顔が視界に入った。
唇が触れ合う。
触れたところから幸せの成分みたいなものが溢れ出て、ちゃんと意識を保っていないと、自分が解けてなくなってしまいそう。
いったん息をついたタイミングで、キスがより深いものへと変わる。
ざらりと摩擦されるたびに快感が走って、私は鼻と喉の奥から似合わぬ甘い声を漏らす。
頬に、目元に、額に、耳に、首に、彼の唇を刻み込まれているような感覚。
私は必死に彼を求め、彼はそれを笑いながらもてあそぶ。
私がどんなに積極的になっても、結局彼の方が主導権を持ってしまうのはなぜだろう。
私、また流される。今度はきっと最後まで。
堤さんは私を愛してなんかいないのに。
どんなに頭で自分にそう言い聞かせても、圧倒的な幸福感に私の身体が籠絡されてゆく。
「ん、ねえ、堤さん……」
今以上の刺激を求めるように彼の名を呼ぶ。
彼はニヤリと意地悪な笑顔を見せた。