恋愛じかけの業務外取引




自宅でのランチを諦めた私たちは、とりあえず近場にあった洋食屋でランチを食べた。

その後、新婚カップルと間違えられつつ、家電量販店で5号炊きの炊飯器、ホームセンターで一通りの調理器具と食器、保存容器などを購入。

それからスーパーへ行って、「昼は洋食だったから、夜は和食」というおおざっぱなリクエストに応じるための食材を買い、そのスーパーに隣接するクリーニング店にてシャツを受け取り、彼の自宅に戻った頃には夕方6時前。

小腹が空いたと言うので、コーヒーを淹れて持ってきた菓子を食べてもらいながら、私は台所で購入したキッチンツールの開封と洗浄、そして調理をした。

焼き魚に味噌汁と野菜を添えただけのシンプルなディナーが完成したのは、午後8時過ぎだった。

「お口に合いますでしょうか?」

「うん。普通にうまいよ」

「そうですか。よかった」

料理は微妙な評価だったけれど、自信もなかったしマズいと言われなければ御の字だ。

彼が食べている間に風呂場や洗面所など水場の掃除に勤しみ、食べ終わったら洗い物をして、残った米は冷凍庫へ。

明日月曜日は燃えるゴミの日だということなので、ゴミ出しの準備もぬかりなく。

そこでまだ洗濯物を取り入れていなかったことを思い出し、慌てて取り込んで、たたんで。

クローゼットの中の衣装ケースにしまおうと思ったら、その衣装ケースの中こそ大惨事。

ケースの中身全体を整理していたらいつの間にか午後10時を越えていた。

今朝ここに来てから12時間。

なんか、なんか……思ってたより10倍くらい大変なんですけど!

この人、なにひとつ手伝ってくれないし!

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