恋愛じかけの業務外取引



私の不安を裏付けるように、彼から業務連絡のメール以外なんの音沙汰もない日々が続いた。

今年のクリスマスは3連休ということもあって、女性の多い職場はずいぶん色めき立っていた。

デートだディナーだお泊まりだ。

プレゼントはこれにした。

もしかしたら今年こそプロポーズ?

そんなふうに楽しめる女子たちがうらやましい。

付き合ってはいないけれど一応好き合っているんだし、もしかしたらクリスマスくらいなにかお誘いがあるかも……なんて期待をしたりしていたのだが、本当にまったくなにもなかった。

拗ねるくらいなら自分から声をかけてみればよかったのかもしれない。

しかし残念ながら、連休が明けるまで、そんなふうに考え至ることもなかったのだ。

私はずっと姉御として「女性なりにどう強くあるか」ばかりを考えて生きてきたこともあって、「女性としてどう人生を楽しむか」を考えることを怠っていた。

その代償がこれかと反省しているうちに、いつの間にか誕生日から1週間が経過していた。

12月28日。

株式会社ラブグリーンは仕事納めである。

今日は会社の大掃除をやって、その後関係者各位を呼んでの忘年会が行われる予定だ。

そこに堤さんも来る予定だったのだが。

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