君の瞳を信じて。
思い出したくない過去
あれは、3年前。
私も心奈も、中学2年生だった。
まだ私が、外の世界に絶望していなかった頃だ…
「優奈、一緒に帰ろ!」
「うん!」
私達は、喧嘩なんてしない、本当に仲の良い双子だった。
私も、心奈も、お互いのことを信頼していたし、大好きだった。
「優奈…私ね、彼氏、できたんだぁ!」
「か、彼氏!?」
「そう、彼氏。」
彼氏なんて…まだ中学生。未知の世界だと思ってた。
「誰?どんな人なの?優しい?」
「えっとね…?3年の、樹先輩!」
え…樹…先輩…?
「もしかして…立花樹…先輩…?」
「そうだよ!優奈、知ってたんだね。すっごく優しいでしょ?樹先輩から、告白してくれたんだ!」
その時、神様はなんて残酷なんだろうと思った。
だって…立花先輩は、入学式の日に一目惚れした…私の、誰にも言えない初恋の人だったから…
「明日、放課後にデートするから、一緒に帰れないの。ごめんね!樹先輩のことは、今度改めて紹介するね♪」
紹介なんてされたくないよ。
初恋の人を、双子の妹の彼氏として見たくないよ…
でも、幸せそうな心奈に、そんなこと口が裂けても言えない。
「うん、わかった…」
私は頷くことしかできなかった。