君の瞳を信じて。
「はいみんな静かにー!
いきなりですが…今日は、転校生が来ています」

ざわざわ…

「イケメン!?男子!?」

「やっぱ可愛い美少女だろ!」

静かにという指示とは裏腹に、うるさくなる一方だった。

「おい、静かにしてくれ…
今から教室に入ってもらうから。
清水さん、入って~」

余計ざわざわしてきた。そりゃあそうだ、季節外れの転校生。
私が気になるぐらいなんだから、みんなはもっとわくわくしてるはず…

ガラガラッ…

転校生が入ってきた。
うわ…可愛い女の子。ミディアムくらいの長さの髪がつやつやしてる。整った顔立ちで、どこか凛とした雰囲気。
心奈とはまた違った感じだけど、この子も相当可愛い。

「女…女子…!」

「か、かわ、かわいい…」


「清水妃です。こんな時期に転校してきて変だけど、これからよろしくね!」

清水さん…すごいなぁ。自信に満ち溢れた、堂々とした態度。
地味で、他人と比べられるのを恐れている私とは大違い。

「清水さんの席がないので、これから席替えをします。くじはいつものくじを引いてください」

いつものくじ、というのは、先生お手製の席替え用くじ。何年も使ってるらしく、結構ボロボロ。

「○○ちゃん、隣になれたらいーね!」

「○○と席離れちゃう!嫌だなぁ」

周りから、いろんな会話が聞こえる。
そんな友達いないし、私には無縁の会話だけどね。
でも心奈は…

「ここちゃん、席離れてもよろしくね!」

「ここ、近くになれるかなぁ?」

人気者だなぁ…
私にも、あんな友達がいたらなぁ…


「華野さん、速くくじ引いて」

「あ、ご、ごめん」
怒られちゃった。

「えーっと…6番?窓際の1番後ろ…うん、悪くない!」

なんたって、今までは教壇の目の前。
最悪だったんだから。

そういえば、周りの人は誰かな?
人数が違うから女子と隣になる可能性もあるし…
そんなことを考えながら席を動かすと、
「え、優奈!?偶然!私、隣だよ♪」

え…心奈…?
私の隣…!?
あぁ、最悪。
ラッキーなんて思っていた私のテンションは急降下。
なんでなのよ、なんでこんな確率で、心奈と隣になっちゃうのよ…

「清水さん?席近いね、よろしくね!」
清水さん、は私の前の席だった。早速心奈が話しかけている。
きっとこんな見た目だから、心奈と仲良くなるんだろうな…

「よろしくね。あれ?二人共名字が…?」

「あぁ、私達は二卵性の双子なの。私が優奈で、こっちが心奈。よろしくね」

「そうなの!?双子で隣ってすごいね。私のことは、妃ってよんでいいよ!私も二人のことは名前で呼ぶね♪」

妃…って、呼んでいいんだよね。
なんか、名前で呼ばれること多くなったな…?

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