出会い系で出会った男たち 2
山田さんはほんとにこんな感じで、とちりながら一生懸命喋ってくれました。

一生懸命さはすごく伝わるんですが…最低なわたしは笑いをこらえるのに必死だったんです。

本気で最低です。


話した内容は、プログラマーということと、わたしの仕事と、お互いの住んでいるところと、料理美味しいですね、くらいですね。

こっちから話をふらないと喋らない山田さん。

しかもとちる山田さん。

話さないほうが懸命だと思ったわたしでしたので、あまり話しかけませんでした。



そして食べ終わるとすぐ会計を頼みました。

最低なわたし。

だって喋ることがないんだもん。


そして伝票を受け取ると山田さんがすごい勢いで椅子から立ち、わたしの方に来て伝票を引っ張ってきました。


「だ、だめです!!と、と、鳥谷さんに払わせるにゃんて1円たりともだ、だめです!!」


あまりの勢いと大声にわたし唖然。

他のお客さんも唖然。

というかお店の空気が止まったと思います。


『いえ、美味しかったし楽しかったのでそれでは割り勘で…──』


「だゃみぇでしゅ!!」


滑舌が悪いわけじゃないですよ。

店員さんには普通でしたからね。

でもこんな喋り方を山田さんはするんです。

不思議です。

謎です。



あまりの迫力だったのでわたしは負けて、ラッキーと思いながら奢ってもらえました。

というかわたしも猫をだいぶかぶりましたね。
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