出会い系で出会った男たち 2
《ニット帽は茶色でパーカーはカーハートて書いてある。》


このメールを見たとき目の前のPARCOに背を向けて立っている男を見ました。

PARCO前といったらわたしはPARCOに背中を向けた位置と解釈していたんです。

で、そのPARCOに背を向けた目の前の男、携帯をいじりながら茶色いニット帽にカーハートのパーカーにジーパンなんです。

もしかしてこいつか??

話しかけようかな…まずメール返そうかな…。



…でもですね、話しかけたくない雰囲気なんです。

ここでやっと思い出しました。

クニオってマーシーだった!!って。

遅すぎ。

やっぱりわたし頭悪いですね。

田代まさしって言われたら

「あぁ、確かに。」

って感じですが、それ以上に…その、ねっ!!

わかってください。


このメールを返すかどうかさえも迷う最低なわたし。

でもここは外見が嫌だからってドタキャンするのは人としてどうかと思うわたし。

話しかけよう!!

そう思って目の前のクニオをチラ見して返事を打とうとするわたし。

でも打とうと思ってるのに指が進まないわたし。

頭ではドタキャンはダメってわかってるのに指が言うこときいてくれません。

失礼な指ですね、わたしの指。


そのときまたクニオからメールがきました。


《今PARCOのどのへん?てか、キキはどんな服?》


うわぁ~教えたくねぇ~。

教えたら話しかけてきそうだもん。

本心はこれでした。

でも人としてドタキャンはだめだ。

覚悟を決めて…気合いを入れて話しかけました。


「クニオ?」


『キキ?』


「はい、そうです。」


よそよそしく話し始めました。

なんか近くでよく見たら本当に田代まさしにしか見えなくなってきました。

同じ23歳であんな年上の田代まさしに似てるといわれる人…

少し可哀想ですね。
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