スイッチ
私の言葉に返してくれたのか、さらにぎゅっと一度力を入れた淳は、優しい手で私の頭を撫でてくれた
「もう、だいぶ暗いな
おばさんも心配するし、今日は帰ろうか」
気づけば辺りはだいぶ暗くなっていて、公園にひっそり立つ街灯だけが私達を照らしていた
「………うん」
帰らないといけないけど、なんだか離れがたくて、もう一度淳にぎゅっと抱きつく
「宇美……明日も会えるから
月曜だし、放課後は一緒に帰ろうな」
「うん」
そうだ、明日も会えるし、一緒に帰れるんだ
「また俺の部活ない時にはデートもしような」
優しい笑顔で言う淳
そっか………今度から淳とのお出かけは『デート』になるんだ………
当たり前なんだろうけど、まだ"彼女"の自覚が出ないから、小さな変化にも反応してしまう
「じゃ、帰ろう」
抱きしめられていた手は解かれて、今度は私の手を握ってくれて………
こんな風に当たり前に手を繋げる関係になれた嬉しさを、握られた手を見ながら噛み締めていた