スイッチ



「それじゃ、またな」


家の目の前で、優しい笑顔で手を振ってくれる


「またね」


私もそれに応えて手を振り返した


私が家に入るまで見守っていてくれるのが分かり、名残惜しい気持ちもありながらも家に入った



「あ、お帰りー!」


玄関の扉を閉めた音に気づき、お母さんがリビングの扉を開けて迎えてくれた


「………何、あんた
さっきまで悲惨だった顔がさらに磨きがかかってるじゃない」


確かに先程の嬉し涙で、さらに私の顔は悲惨になったとは思うけど、心の中は眩しいくらい晴れやかだった為、お母さんの暴言にだって笑顔で応えてしまう


「顔洗ってくるー!」


そんな私の姿を見て、お母さんは不思議そうにしていたと思うけど、気にせず洗面所に向かった


今なら何でも笑ってしまいそう………

正確にはニヤケてるんだけど



その日の夜は、なんだか身体中がふわふわして、今までで一番気持ちの良い眠りだった
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