スイッチ



靴を履き替えようと離した手を見つめると



「どうした?」



私の視線を感じたのか、愛用してるらしい白のスニーカーを履きながら聞いてこられる



「ううん、何でもない」



さっき自分から手を繋ぐのは恥ずかしいと言いながら、いざ手が離されるとなんだか寂しいなんて、ワガママにも程がある


そんな自分を知られるのは、恥ずかしい………


私も自分の靴箱からローファーを取り出して、急いで履くと



「宇美、繋ぐだろ?」



ちょっとニヤッと笑う、意地悪な淳の顔と差し出された手



…………何でこんなにバレバレなんだろ


悔しい………


全部見透かされてるみたいで


けど、悔しいのと相まって、少し嬉しいのも本当



「しょうがないなぁ〜!」



仕方ないというような素振りで差し出された手を取った私は、最高に可愛いげがなかったと思う

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