スイッチ



「あ……」



そこには、明らかに眠たそうな顔をした宇美の姿が



思わず、すぐ横にある曲がり角の影に隠れてしまった



「宇美ー?あんた、こんな早く学校行くの?」



塀の影からこっそり覗くと、宇美のおばさんの姿も見えた



「うん、ちょっと用事あるから」



あ、嘘だ




宇美は嘘をつく時、へにゃって、ちょっと焦ったように笑うから



そんな癖も、もう分かってる



「そう?あんた昨日帰ってから、何かおかしいから、、ぼーっとしないで気をつけて行きなさいよ」



「わかってるよー!行ってきます!」



そう言って、宇美はこちらに歩き出した




やばい!!



こっち来る!!



こちらまで歩いて来られてしまっては隠れる場所がない俺は、とっさに宇美が歩いてくる道に背を向けた


< 29 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop