スイッチ


少しずつ近づいてくる足音を背中で感じ、一歩一歩の地面を蹴る音に敏感になる


そして、その音がすぐ後ろから聞こえたと思ったら、そのまま一定のリズムでまた少しずつ遠のいていく




…………気づかなかった?





ゆっくりと、宇美が歩いて行った方向の道を覗くと、何事もないように進んでいる



あいつ、完璧周り見えてないな、、、



背中向けてたとはいえ、この距離だったら普通気づくだろ



大丈夫かよ、、、



気づかれたくなかったはずなのに、気づかれなかったことで不安になってしまった





なんとなく、元気がなさそうなその背中




その原因は俺………?




いつの間にかその背中から目が離せなくて、宇美が道を曲がり、見えなくなったのを確認してから、やっと俺も学校に向けて歩き始めた


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