スイッチ



《淳》


自分が機嫌が悪くなっていることは自覚していた


それはたぶん、先ほど見た宇美と聡の姿………


ぎこちない挨拶を交えた後、気づけば宇美は聡と消えてしまっていて


どこに行ったのかと思っていれば、二人仲良く授業に遅刻し、先生から注意を受けていた



「えっ!?もしかしてあの二人って……そうなの?」


小さい声でひそひそと、席が隣の女子が、後ろの席の奴と話しているのが聞こえて眉間にしわが寄る



何で、二人一緒に遅れて入ってくるんだよ……


いや、宇美と聡がそんな仲じゃないことは、俺がよく知っているはずなのに、何でこんな風に思うんだよ


現に聡はやましいことなんてこれっぽちもないような表情で、へらへらと男友達に揉まれながら席に着いていく



そして宇美は、やっちゃったというような雰囲気で、目が合ったとたん照れた
ように笑って


その笑顔がなんだか見れなくて、俺は目を反らしてしまった



それから斜め後ろに宇美が座ったのを確認してから、俺感じ悪かったかな……とか、らしくない考えが浮かんで

その気持ちを必死に抑えるために、目の前の先生に意識を集中させた



それでも頭に浮かぶのは、先ほどの二人の姿………



宇美にもし彼氏ができたら、あんな感じなんだよな……


想像するだけで、先ほどと同じような苛立つ気持ちが襲ってくる


本当はこの気持ちの正体はわかっている


初めて感じる気持ちではあるけど、よくドラマや漫画で出てくるアレだ



< 44 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop