スイッチ
《淳》
自分が機嫌が悪くなっていることは自覚していた
それはたぶん、先ほど見た宇美と聡の姿………
ぎこちない挨拶を交えた後、気づけば宇美は聡と消えてしまっていて
どこに行ったのかと思っていれば、二人仲良く授業に遅刻し、先生から注意を受けていた
「えっ!?もしかしてあの二人って……そうなの?」
小さい声でひそひそと、席が隣の女子が、後ろの席の奴と話しているのが聞こえて眉間にしわが寄る
何で、二人一緒に遅れて入ってくるんだよ……
いや、宇美と聡がそんな仲じゃないことは、俺がよく知っているはずなのに、何でこんな風に思うんだよ
現に聡はやましいことなんてこれっぽちもないような表情で、へらへらと男友達に揉まれながら席に着いていく
そして宇美は、やっちゃったというような雰囲気で、目が合ったとたん照れた
ように笑って
その笑顔がなんだか見れなくて、俺は目を反らしてしまった
それから斜め後ろに宇美が座ったのを確認してから、俺感じ悪かったかな……とか、らしくない考えが浮かんで
その気持ちを必死に抑えるために、目の前の先生に意識を集中させた
それでも頭に浮かぶのは、先ほどの二人の姿………
宇美にもし彼氏ができたら、あんな感じなんだよな……
想像するだけで、先ほどと同じような苛立つ気持ちが襲ってくる
本当はこの気持ちの正体はわかっている
初めて感じる気持ちではあるけど、よくドラマや漫画で出てくるアレだ