スイッチ
やっぱり、こうして教室で待つ時間はソワソワしてしまうけど、不思議と嫌ではなくて、遠足の前の日の夜みたいに心が躍ってしまう
教室に響く時計の秒針の音もなぜか心地良く感じてしまって、気づけば笑ってしまっていた
廊下に響く少しずつ近づいてくる足音に心が跳ねて
あ、来た……
自然に笑みがこぼれてしまう
ガラッ
「宇美、お待たせ」
今日もきっと走ってきてくれた
額にうっすら浮かぶ汗にさえ、淳の優しさを感じて愛しく思う
「部活お疲れ様」
「宇美も当番お疲れ」
そう笑顔で言って、温かい手で優しく頭を撫でてくれたことが嬉しくて、前と違って躊躇することなく、淳の隣を歩いて教室を出た