スイッチ



「……何してんの?」



私のすぐ後ろに、少し不機嫌な声をした淳の姿があった


トイレに行ったこの短時間に、一体何があったんだろう……


何か嫌なことがあったのかな?


微かに眉間にシワが寄っている………




「お!斉藤!今ばったり水原と会ったからしゃべってた所なんだよ!」



淳の不機嫌な声に全く気づかない吉田君は、呑気に状況を説明している



「へぇ……悪いけど俺ら急いでるから、先帰るな

宇美、行こう」



そう言いながら、淳は私の腕を掴んで、改札の方に歩いて行こうとする


あれ?そんな急いでたかな?


淳の言葉に疑問はあったけど、正直あまり吉田君と長くしゃべっていたくなくて、引っ張られる腕に素直に従って歩き出した



「水原!また明日、帰る日決めような!」



歩き出した私達に向かって、手を振りながら言う吉田君



「うん?……バイバイ」



とりあえず、そんな吉田君に向かって軽く手を振り返した


< 79 / 126 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop