スイッチ
私を引いて歩く目の前の淳はこちらをチラリとも見ず、無言で改札を通り過ぎ、ホームの奥まで進んでいく
私の腕を掴む手は、いつもの優しいものでなくて、力が入った少し乱暴のもので………
何か怒らせちゃったのかな?
分からない淳の行動に不安な気持ちが押し寄せてくる
「痛っ」
強く掴まれた腕が痛んで、思わず声をあげてしまった
「わりっ………」
その瞬間、淳の手が私の腕から離れていく……
その時に見えた表情は、なぜかすごく悲しそうなもので、その表情の理由を聞かずにはいられなかった
「淳、何かあったの……?」
「…………」
「……私、何かしちゃったかなぁ?」
「っ……ちがっ!!」
そう言う淳は今度は苦しそうな表情で、私を見たかと思ったら、今度は下を向いて黙ってしまった
本当にどうしたんだろうと気になって、俯いた淳の顔を見ようと覗きこんだ時………
「………吉田と仲いいの?」
か細い声が聞こえてきた