スイッチ
《淳》
周りからはよく年の割に落ち着いていると言われる
自分でも感情的に怒ったり、泣いたりしたりすることは昔から少ない方だとは思っていたし、きっとこれからもそこまで感情が乱れることはないんだろうと、心のどこかで思ったこともあった
だけど、先程の宇美と吉田の姿を見て、吉田の好意にこれっぽっちも気づかず笑顔で呑気に話す宇美に対し、気づけば責める声をあげていた
宇美が言った通り、こんな感情的に怒ったり声をあげたりするなんて、俺らしくない………
だけど、そんな自分を止めることができなかった
帰り道、俺の後ろで俯きながら、宇美が泣くのを我慢していたのは気づいていた
だけど、どうしても声をかけることができなくて、そのまま何も言葉を交わすことなく、それぞれの家に入った
最後、小さく手を振る宇美の姿が横目に見えたけど、それさえも見えないふりをして静かに玄関の扉を閉じた
何やってんだ………俺
さっきまで、あんなに2人楽しい時間を過ごして、宇美もずっと笑顔で楽しそうにしていたのに………
楽しかった1日を俺が全て台無しにしてしまった