スイッチ



「……………」



悔しいことに、聡が言ったことは全て正しいことで、何も言い返すことができなかった


俺、何やってんだろ


1番大事なのは宇美のはずなのに、結局自分を良く見せたいがために中途半端にカッコつけて、何でもないフリして…………


最後は宇美を泣かせて悲しませて、自分も落ちるなんて、バカすぎだろ


こんな奴が宇美を笑顔になんかできるわけない

「好き」なんて言ってもらえるわけないよな



「お前、あいつの気持ち少しは気づいてんだろ?

お前の嫉妬や独占欲くらい、宇美なら笑って受け止めてくれるはずだろ

それとも何?お前の惚れた女はそんな気持ち煩わしく思うくらい、器ちっちゃい訳?」


「違うよ………宇美が受け止めてくれるのくらい、他の誰よりも俺が1番よく分かってんだよ」


「じゃあ、ちゃんと説明して気持ち伝えればいいだろ?」


「そんなに簡単に言うけど………15年だよ」


「はっ?」


「俺と宇美、生まれた時からずっと一緒で15年幼馴染としてやってきてるんだよ

それが壊れたら、上手くいかなかったら………そう思ったら、気持ちを伝えるのが怖いんだよ」



本当情けないけど、これが俺の本音なんだ……………


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