スイッチ



「聡、サンキュ

なんか色々……目覚めたわ」


「やっとかよ!
全く、手のかかる2人だよ」



呆れた声で憎まれ口を叩かれたが、今回だけは聡に頭が上がらないな………


「宇美と話してくる」

「カッコつけずに、ちゃんと話しろよ?」

「分かってる………」

「じゃ、明日良い報告待ってるからな」

「ああ」



それから聡に別れを告げて電話を切った




外を見ると、夕日は既に消えていて、月が空に現れていた


今日は満月か…………


もう幼馴染が壊れるのが恐いなんて思わない


それよりも、宇美を泣かせたり、悲しませたくないから


俺のカッコ悪い所もきっと宇美は分かってくれる

受け止めてくれる


あいつ、今もまだ泣いてるんかな………



そう思ったら居ても立っても居られなくて、近くに脱ぎ捨てていた上着を急いで羽織り、自分の部屋を後にした

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