スイッチ


「淳、お待たせ」


そう声はかけるけど、まだ俯いたままの私はきっと変な子に見えるだろう


だけど、しょうがない


本当にひどい顔してるし、淳に心配かけさせちゃうから



「おばさん、何か言ってた?」

「淳によろしくだって」

「そっか
ダメだって言われないで良かった」

「お母さん淳のこと大好きだから、大体のことは許してくれるよ」

「それは嬉しいな」



意外と普通に話せている自分がいて、少し気持ちが落ち着いてきた


大丈夫、大丈夫


そう言い聞かせれば、さらに大丈夫になりそうだ



「ちょっと2人で話したいんだ
そこの公園行こうか」


淳が指差したそこは、小さい頃からいつも2人でよく遊んでいた近所の公園で、私たちの家から見える位置にある


「……うん」



「話したい」という言葉に、これから話されることに対し少し不安になったけど、淳の横を歩いて公園に向かった




その時、ふと目に入ったのは満月


暗闇の中光り輝くその光は、なんだか私を元気づけてくれているようで、その光から目を反らせずにいたーー


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