スイッチ


「さっき、怒って宇美に当たってごめんな

あれは宇美が悪いんじゃなくて、俺がただ吉田にムカついただけなんだ」


「吉田君?……何で?」



あれ?
あの時、吉田君と淳、なんかしゃべってたっけ?



「………宇美に気安く話しかけて、ちゃっかり一緒に帰る約束なんかしてるしさ」


「へっ?」


「しかも、宇美は吉田の丸分かりの好意にちっとも気づかないで、警戒心全く持ってないし………あ、やっぱりちょっと宇美にもムカついたのかも」



えっ?えっ?えっ?



「だから……つまり、吉田に嫉妬したんだよ」


抱きしめられてる腕に少し力が入る


………嫉妬?淳が?



「めちゃくちゃカッコ悪いけど、宇美と吉田が仲良く話してる姿なんか見たくないし、俺以外の男に近づいてほしくない」


えっ………


「宇美の隣はいつだって俺がいたいし、他の奴に渡したくない」


あ、淳………?


背中に回された腕が緩んだと思ったら、肩を掴まれる

そこに少し距離ができると、淳と視線が交わったーーー


じっと見つめられたその強い視線から目を逸らすことはできなくて
唇が動き出そうとしたのを合図に、体が固まった




「俺、宇美のことが好きなんだ」



耳に甘い言葉を残してーーーー


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