声にできない“アイシテル”
1章 出逢い

言葉なんか・・・

「かったりぃなぁ」


 家庭の事情で叔父夫婦に引き取られた俺

 桜井 晃(さくらい あきら)。


 高3の9月という半端な時期に転校して3日目の放課後。

 教室を出るなり口を付いたのは、このセリフだ。




 親がいない俺はこれまで祖父と暮らしていた。

 その祖父が先日亡くなって、いろんな事に無気力になっていたんだけど。


 俺を引き取ってくれた叔父さんが

『高校くらいはきちんと卒業しなさい』と言ってきて。


 通いやすい距離にある公立高校に転入。




 いくつものホテルを経営していて、そこそこ金のある叔父夫婦は私立の高校を進めた。


 が、朝起きる事が苦手な俺としては少しでも長く寝ていられるようにと、一番近くの学校を選んだ。


 転校初日に小山っていう気の合うダチもできたし、通学に便利だし。


 しかも、先生は口うるさくなくって自由な校風。





 本当なら学校生活を満喫できるはずなんだけど、とにかくかったるくてしかたがない。



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