声にできない“アイシテル”

初対面

「ちょっと、ちょっと。
 みんな、大変だよぉ」

 2学期の始業式が始まる前。

 友達と夏休みの報告をしていると、おしゃべり好きなある女の子が飛び込んできた。



「3-1に超カッコいい先輩が転入してきたっ!!」


 一瞬で女子たちがざわめき出す。


「ほんとっ!?」

「ねぇ、どんな感じ?」


 あっという間に何人もの女子が、その子に駆け寄る。



「えっとね、背がすらっと高くて。
 顔がすっごく綺麗だった。
 俳優かモデルって言っても、納得で来ちゃうくらい」

 興奮しながらその先輩についての説明をしている。

 それにつられるように、話を聞いている子達も楽しそうに目を輝かせる。




 でも、私は何の興味も湧かない。


―――圭ちゃんと同じクラスだ。

 って、思っただけ。



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